読解力の不足は頭脳の生活習慣病(1)

ここ4~5年、入試前や定期テストの前に教科書を使って授業を行おうとすると、文中に明らかに答えがあるにも関わらず、全く違うことを答えてくる生徒がいる。昨年度(2017年)の「国立 情報学研究所」の調査によると社会科の教科書の文章で異なる内容の文章を「同じ」と答えた生徒が42%いたという。

「国語力」が不足しているという言い方をよく耳にするが、そこで言う「国語力」とは、国語のテストの得点で判断されていることが多い。本来の国語力とは、「文章の内容を正確に読み取ること」「正確に伝わる文章を書くこと」であるのだが、自分がそれができているのかすら把握していない生徒も多い。

文章の内容を正確に読み取るために必要な要素としては、

1.主語・述語・修飾などを正確に把握する力

2.読むスピード

3.語彙力

の3つが主なものであるが、このうち「2.読むスピード」「3.語彙力」は塾や学校で授業を受けているだけで身に付くものではなく、ある程度の長期間(少なくとも1~2年)様々な活字に触れることでしか、身に付けることはできない。活字離れが言われて久しいが、活字に触れる機会を持たなければ読解力がつかないことは、当然と言えば当然すぎる結果である。

「生活習慣病」が、長期間にわたる運動不足やカロリーオーバーによって引き起こされ、長期間にわたる適度の運動とカロリーコントロールでしか根本的に改善しないのと同じで、「読解力の不足」は長期間にわたり活字に触れないことで引き起こされ、長期間にわたり活字に触れることでしか改善する方法はない。

この状況を打開すべく、リアライズでは読解力が不足している小中学生を対象に「読解力養成講座」を受けさせている。最初は活字に触れたことが殆どない生徒が、今では「新聞を読むことを楽しみにしている」状態になっている。効果が現れるまでに、早くても半年、平均的には1~2年かかるとは思うが、身に付いた読解力は、今後の学習を進めるうえでの「最高の財産」になるであろう。

 

 

今の子たちを見て感じることは「読解力」「忍耐力」「思考力」などの長い時間をかけることでしか身に付かないことが、その時間をかけていないがゆえに身に付いていない子があまりに多いということである。これらは、なるべく「面倒なこと(具体的に言うと『勉強』)」をしないで済ませたい子どもたちの要望に応じることで生徒を集めようとする塾業界の責任が大きい。

 

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