「やる気」の正体①
「うちの子は勉強をやる気がない」「ゲームくらい勉強もやる気になって欲しい」などの相談を保護者の方から受けることが多い。
また、或いは生徒たち自身から「(勉強に)最近やる気が出ない」という相談をされることもある(とても正直だ)
しかし、そもそも「やる気」とは何なのだろうか?
「やる気」の辞書的意味
広辞苑によれば、「やる気」とは「物事を積極的に進めようとする目的意識」だそうだ。
では、果たして勉強に対して「やる気」というものは生じるのだろうか?
我が身を振り返って考えてみて欲しいのだが、「やる気」が生じるものというのは一般的に趣味などの「自分が好きなこと」に対してではないだろうか。
「勉強」という言葉は日本では「学習する」という意味で主に用いられているが、本来の意味、つまり中国語では「(何かをするのに)不承不承である、気乗りがしない」という形容詞で使われている。
日本語でも「勉強する」というのを「値引きする」という意味で使われることがある。
これは「精一杯努力する」という意味で使われていたものが変化して生まれたビジネス用語であるが、どちらかと言えばこちらの方が中国語の意味には近いと言えるだろう。
そう、勉強とは本来「嫌々するもの」なのである。
(まあ、これを塾講師である私が言いきってしまうことに問題がないとは思わないが…)
なんでも「やる気」で片付けて良いのか
塾業界では某企業が「やる気〇イッチ」という言葉で一世を風靡してしまったせいで、あたかも勉強に対して「誰にでもやる気を出させる方法がある」かのような誤解が蔓延しているように思われる。
それ自体はさしたる問題ではないのだが、その「やる気」という幻想を盲目的に信じることで、あたかも生徒がかかえる問題の原因を「やる気の欠如」だと決めつけて思考停止し、本来向き合わなければならない問題を見ないせいで、生徒たちが様々な不利益を被っていることは重大な問題だ。
「やる気」という言葉に対して、一度真剣に考えてみよう。
続く…