「できてよかった」その安心、本当に正解ですか?②
まず、自分で考える習慣が育ちにくくなります。
問題を見た瞬間に「見たことがあるかどうか」で判断する癖がつくと、初めて見る問題に出会ったとき、考える前に手が止まってしまいます。
本来は試行錯誤すべき場面で、「知らないから無理」と諦めてしまうのです。
次に、学力が不安定になります。
出題傾向が合えば点は取れますが、少し条件が変わるだけで成績が大きく下がることがあります。
その結果、努力しているのに結果が出ないという感覚を持ちやすくなり、自信を失う原因にもなります。
さらに、「教えてもらわないとできない」という依存心が強まります。
これは将来、学年が上がり学習内容が難しくなったとき、大きな壁になります。
短期的な成功を重ねる学びは、長期的には子どもの可能性を狭めてしまうのです。
「塾でやったのとそっくりの問題が出た」という学習が選ばれやすい理由の一つに、「てっとり早さ」があります。
限られた時間の中で成果を示す必要がある塾にとって、出そうな問題を集中的に練習させる方法は、短期間で結果を出しやすい手法です。
点数が上がれば、生徒も保護者も納得しやすく、説明もしやすくなります。
また、この学習法は講師側の負担も比較的軽く済みます。
深い理解を引き出す指導には時間と経験が必要ですが、解法パターンを教える形であれば、指導の質を一定に保ちやすく、短時間で授業を組み立てることができます。
そのため、多くの生徒を同時に指導する現場では、効率の良さが優先されやすくなります。
しかし、この「てっとり早さ」は、あくまで短期的な成果に限った話です。
考える力を育てるには遠回りに見える過程が欠かせません。
即効性を重視した学習は、時間を節約するようでいて、結果的には生徒の成長の機会を削ってしまうこともあります。
速さを優先する姿勢が、必ずしも生徒のためになるとは限らないのです。
続く…

