東京都で公立中高一貫の受検が始まって、今年で16年になる。当リアライズも、数は少ないもののこれまでに、小石川・両国・白鷗などに生徒を送り込んできた。

タイトルの「悲劇」とは、合格者ではなく、他塾で「公立中高一貫講座」などを受けた後に不合格となり、中学生になってから当リアライズに入塾してきた生徒たちの話である。

今年(2018年)6月13日の朝日新聞に都立両国高附属中の鯨岡広隆校長の「こうしたら受かるという答えは塾にもないだろう。言えるのは、受かった生徒は本や新聞を読むことが好きだということぐらいだ」という談話が載せられていた。「こうしたら受かるという答えは塾にもない」という点については、中学受験の最大手である「SAPIX」や「日能研」が手を出してこないことも一つの証左であろう。

これまでに「公立中高一貫講座」を設けている塾にかつて勤務していた先生たちと「公立中高一貫」について話をさせて戴く機会が少なからずあった。そこで表では絶対に口に出せない本音を聞くこともあり、大まかにまとめると以下のようなものであった。

 

・合格する可能性がある生徒は最初から決まっており、合格者はほぼ全員、その中から出ている。どういう子かというと、先天的に能力が高い子である。

・授業に本当について来れる子は、10人中2人くらい。残りの8人は本人の能力に対して内容が高度すぎて、ただ受けているだけになっている。

・講座を持っていると生徒が集まるため開いてはいるが、合格する子のほとんどは講座を受けなくても受かるし、不合格者のほとんどは何をどうしても合格レベルまで引き上げることはできない

・合宿はただの金集めと思い出作り。行っても何の役にも立たないが、参加者数のノルマが厳しいため、必死で参加するように説得する。

 

「学習」の定義を「授業を受けること」ではなく「理解し、身に付けること」に置くのであれば、絶対に守らなければならないことが2つある。一つは、本人の現状に「レベルが合っていること」、もう一つは本人が身に付けるために必要な「最低限の労力と時間をかけること」である。

都立の中高一貫校の難易度は、一般的な「偏差値」には馴染まないものの、首都圏模試では63~70となっている。これを一般的な高校入試に置き換えると70は優に超えるであろう。このレベルの授業内容を偏差値50台の「普通の子~まあまあできる子」が受けたところで、ほとんど身に付くことはないと断言できる。「公立中高一貫講座」を持つ塾の決まり文句(実はマニュアル化されたセールストーク)として「仮に不合格だったとしても、学んだことは無駄になりませんから」というものがあるが、ほとんど身に付くことなく費用と時間をかけることは「無駄」以外の何物でもない。

それでは、何が「悲劇」なのかと言うと、他塾で「公立中高一貫講座」を受講してきた生徒の殆どが実力を遥かに超えたレベルの授業を受け続けたあげく、もっと基礎的な内容の「本質的な理解」ができていないということである。そして、それが中学以降の内容を理解する上での障害となっている。

中学校の学習内容を「本質的に理解」するためには、小学校の内容を「答えの出し方」ではなく、「本質的に理解」しておくことが不可欠である。本人の身の丈を越えた「公立中高一貫講座」ではなく、もっと基礎基本レベルの授業を受けるべきであり、それが中学~高校~大学における高いレベルでの理解への礎となる。

一例をあげると中1で学習する「文字式」「方程式」の文章題でつまずく様な生徒は「公立中高一貫講座」ではなく、「比例」「割合」「比」などの本質を理解することに時間を使うべきである。この3つの単元は本質的には同じものであり、それが理解できていれば、どの様な応用問題であっても、他者に教わることなく自力で解くことができる。乱暴な言い方をすれば「応用問題」の解法を自力で見つけることができずに、教えてもらわなければ解くことができないような生徒は、都立の中高一貫校に合格することは難しいし、仮に合格したところで、その先は苦難の道が待ち受けている。

当リアライズにも「公立中高一貫」を希望する保護者の方からのご相談が時々あるが、以上の内容をご説明し、本人の現状を把握した上で、その子の今後にとって最善の内容を学習して戴くことにしている。12歳までの学習は、受験(検)の合否以上に中学~高校~大学への礎であるということを忘れてはならない。

 

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